油圧装置の適正な管理のために(使用油の管理基準)
■更油の必要性
いかに品質の優れた作動油でも新油のときの性能をいつまでも保つことはできま
せん。それは、使用中に熱で変質したり、異物で汚れたりするからです。作動油
が変質(劣化)すると新油時の性能が低下するほか、劣化により生成した有機酸
やスラッジが油圧機器の錆や腐食あるいは作動不良の原因となります。
また、作動油の汚れ〈汚染)は油圧機器の摩耗や焼付きあるいは作動不良の原因
となります。
従って、作動油の劣化や汚染が油圧機器に与える弊害を未然に防止するためには
更油の基準を設定し、その基準に従って作動油の状態を常に安全範囲内に維持し
ておくことが必要です。
■更油基準の設定
一般には、油圧機器メーカーが薦める更油基準に従うことが原則とされますが、
メーカーの指定がない場合、あるいはメー力ー保証期間が過ぎた場合は、使用油
の分析性状や自社基準を参考にして設定しなけれぱなりません。
■メー力ーが薦める更油基準
油圧機器メー力ーは一般に6ケ月あるいは一年を周期として更油するよう薦めて
いますが、これは多分に経験的なもので主に異物による影響を重視したものです。
従って、使用条件や環境によっては一年では短すぎる場合もあるでしょうが機械
の保証期間内でのトラプルを防ぐだめにはメー力ーの指定に従われるようお薦め
します。
■使用油の分析性状による更油基準
弊社では下記の基準により更油の是非を判定されるようお薦めしています。
なお、この基準は一般的なもので、対象機械の重要度によっては基準値の限界が
下限値を下回る場合もあります。
また、分析項目のどれにウエイトをおくかも対象によって異なります。従って、
最も好ましいのはいづれかの項目が限界値に近くなったら早めに更油しておくこ
とです。
□粘度…………新油の値に比し10〜15%増減した場合。
□全酸化………0.25〜0.50rKOH/gとなった場合但し、耐摩耗性作動油(ダフニー
スーパーハイドロウリックフルイド)の場合は使用開始後はじめに
全酸化が低下し、ある期間を過ぎれば増加してきますので、減少後
の増加値をこの範囲内以下に抑えます。
□不溶解分……レジン分が0.05〜0.1wt%となった場合。
□水分…………0.05〜0.1wt%となった場合。または外観が乳化状を呈した場合。
□0.8μミリポアフィルター試験
◎一般油圧装置……10〜20r/100mlとなった場合。
◎高圧油圧装置……5〜10r/100mlとなった場合。但し、サーボ弁を
用いた油圧装置の作動油はメー力ー指定の基準を参
考にしてください。